2016/02/07

中国の大気汚染

太陽光発電、風力発電など「再生可能エネルギーの導入」で、中国が先頭グループを走っている。2014年の統計では、1位アメリカ、2位中国、3位ドイツである(日本は9位)。

今となっては違和感ないかもしれないが、かつて中国は「再生可能エネルギーの導入とは最も縁遠い」というイメージが定着していた。その理由は、「経済発展を優先」するため。「再生可能エネルギー導入はコストが高いため、経済発展と相反するもの」という見方がされていた。

しかし、現在は「再生可能エネルギーの導入」で世界2位である。太陽電池の分野でみると、現在、太陽電池生産の半分は中国で作製されており、太陽光発電システムの設置も中国では2013~2014年の二年間に、年間約10GW(原発約10基分)なされている。また国家計画として、2020年までに累計導入100GWを目指している。また、電気自動車や電気バスの導入に積極的な国策をとっている。

なぜ、このように最近大きく変化したのか。

様々な要因はあるはずだが、その中で一番大きいのはPM2.5に代表される「大気汚染」だと思う。つまり「公害」による環境意識の変化。生活において痛い目にあって初めて「このままではいけない」ということになるのだろう。大気汚染の問題を解決するためには、「火力発電⇒太陽光発電、風力発電」「ガソリン車⇒電動自動車」への転換が必要、しかも大至急に、という流れである。

日本でも高度成長期に深刻な公害を経験し、教訓を色々と学び、経済活動に反映されてきた。同じことが、中国でも繰り返されている。それが中国の「公害⇒再生可能エネルギーの導入」という現在の流れである。ならば、インドやブラジルなど他のBRICs、これから経済発展しようとしているアジア、アフリカ諸国でも、「大気汚染」は深刻な問題になるはずなので、中国同様の流れになるのではなかろうか。

リチウムイオン電池(LiB)などの蓄電池は、再生可能エネルギー導入において、これからのキーデバイスであり、「太陽光発電(PV)」「電気自動車(EV)」とも関係が深い。つまり、蓄電池の需要は、これまで環境意識が高かったドイツ、米国、日本など先進国だけという訳でなく、世界中の国々でほぼ同時進行で必要とされようとしている。

公害⇒危機意識⇒環境意識の高まり⇒再生可能エネルギーの導入推進。本当は、環境汚染や公害が起こる前に、はじめから「再生可能エネルギーの導入」ができれば理想的なのだけど、「一度痛い目に合わないと意識は変わらない」というのが人間の本性なのだろう。

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